断熱材の特徴を学ぼう
繊維系と発泡プラスチック系の主な断熱材について、
それぞれの特徴をご紹介します。
グラスウールの特徴
リサイクルガラスなどを高温で溶かして細い繊維状にした断熱材です。床・壁・天井と住宅のほとんどの部位に使用でき、厚みが増し、密度が高く繊維糸が細くなるほど優れた断熱性能を発揮します。柔軟性に富み、木材の乾燥や収縮に対応でき、柱と柱の間に隙間なく施工していく充填断熱工法に適してします。無機質なので燃えず、有毒ガスも発生しません。また、高温多湿な状態に長く置かれても劣化しにくく、吸音性にも優れています。費用対効果の高い材料として長年支持され続け、断熱材・吸音材として日本の木造住宅でもっとも多く採用されています。
ロックウールの特徴
玄武岩、鉄鋼スラグなどを高温で溶かし、細い繊維状にした断熱材です。床・壁・天井など住宅のほとんどの部位に使用でき、650℃以上の熱にも耐えられるほど熱に強く、有毒ガスも発生しません。また、吸音性にも優れています。住宅用途以外にも、工場・プラント等の断熱材、防火材、吸音材、緩衝材として使用されています。
セルロースファイバーの特徴
パルプ、新聞古紙などを綿状に粉砕し、防虫・防火対策などのためにほう素系薬品を添加した断熱材です。1本1本の繊維の中にある空気泡が高い断熱性を発揮します。機械を使って柱と柱の間などに吹き込み、または吹きつけます。筋かいが通るような施工がしにくい場所でも確実に断熱材を入れられるのが特長です。また、木質繊維のため素材そのものが湿気を吸収・放出することから、結露が起きにくいというメリットがあります。吸音・防虫効果があり、防火性にも優れています。
ビーズ法ポリスチレンフォームの特徴
ポリスチレン樹脂に発泡剤と難燃剤を加えてビーズ状にしたものを、蒸気で発泡させます。金型に充填して加熱することで、約30~80倍に発泡してつくります。金型形状によって自由な形に仕上げることができ、ボード状や筒状などさまざまな製品があります。水や湿気に強く、軽くて緩衝性の高い断熱材で、施工性にも優れています。一般には「発泡スチロール」と呼ばれ、梱包材としても広く使われています。また、「Expanded Poly-Styrene」の頭文字をとって「EPS」と呼ばれることもあります。
押出法ポリスチレンフォームの特徴
ポリスチレン樹脂、発泡剤、難燃剤を混ぜ合わせ、発泡させながら押し出して成形します。独立した細かい気泡から構成され、形状はボード状です。断熱性能が高く、堅くて耐圧力があります。外断熱に適した断熱材で、水に強く吸湿しにくいため基礎断熱でもよく用いられます。
硬質ウレタンフォームの特徴
ポリイソシアネートとポリオールを主原料に、発泡剤や触媒などを混ぜて生成します。ボード状と現場発泡の2種類があります。外張り断熱で用いられる断熱材で、気泡には熱伝導率の極めて小さいガスが含まれているため優れた断熱性を持ち、薄くても十分にその効果を発揮します。自己接着性という他の断熱材にはない特長があり、現場発泡のものは接着剤を使わなくても金属・合板・コンクリート等の表面に直接発泡することで、対象物に強く接着した断熱層がつくれます。
高発泡ポリエチレンフォームの特徴
主な原料であるポリエチレン樹脂に発泡剤を加えて発泡させた断熱材で、独立した細かい気泡から構成されています。他のボード状の断熱材に比べて柔軟性が高く、壁や柱の間にも充填しやすいのが特長です。床・壁だけでなく屋根や配管カバーなど、断熱・防水と多彩な用途があります。発泡剤に特定フロンが使用されていないため環境にやさしく、燃えた時の有害性も少ないとされています。
フェノールフォームの特徴
フェノール樹脂に発泡剤、硬化剤などを加えてボード状に形成します。断熱性が高く、経年劣化しにくいという特徴があります。130℃までの使用に耐える耐熱性を持ち、耐火性にも優れ、炎を当てても炭化するだけで煙や有害ガスがほとんど発生しないため、不燃・準不燃材料の認定を受けています。
様々な形状で活用される鉱物繊維系断熱材
一戸建住宅用の断熱材として最も普及している鉱物繊維系断熱材(グラスウール、ロックウール)は、施工する場所や工法に合わせて様々な形状のものが揃っています。
断熱材をフェルト状に成形したもので、屋根・天井・壁・床など様々な部位で使われています。断熱施工をする際は別貼りの防湿フィルムを室内側に施工することが必要となります。断熱材、防湿フィルムの連続性を確保することが容易なため、より完成度の高い施工に適しています。
北海道など、寒冷地で普及しており、断熱への関心の高まりとともに、より温暖な地域でも使用例が増えています。寒冷地はもちろん、ワンランク上の断熱性・気密性を目指すお住まいにおススメです。
断熱材をフェルト状に成形した後に、フィルムでパックしたタイプの断熱材です。室内側には防湿フィルム、室外側には穴開きフィルムが使用されています。
フィルムの耳部分を柱などに留めつけ、内装下地材等で抑え込むだけで断熱・防湿施工ができるという簡便さから、最も普及しているタイプの断熱材です。主に屋根・天井・壁に使われ、温暖地域で一般的に使用されています。
断熱材を高密度の板(ボード)状に成形したものです。標準的な住宅規格に合わせたサイズに成形されていて、主に床用断熱材として使用されています。鉱物繊維系断熱材は湿気を透しやすい性質を持っています。万一の水濡れに対しても、湿気を屋外側へ排出する働きに優れており、乾燥を促進します。
天井や壁、床用の断熱材として使用されます。専門工事業者により専用機械を使用して吹込み施工されます。粒状の断熱材を吹き込むので継ぎ目ができず、隙間なく施工できます。