高断熱高気密住宅で
知っておきたい用語集
高断熱高気密住宅に関する事柄を中心に、
知っていると便利な言葉をご紹介します。
あ行
一次エネルギー
化石燃料や太陽、地熱といった自然界にあるままの形状で得られるエネルギーのこと。これに対し、一次エネルギーを変換して電気・ガソリン・都市ガスなど実際に使用できるように加工したエネルギーを二次エネルギーと呼ぶ。
一次エネルギー消費量
電気やガスなど、住宅で消費するエネルギーを作り出すために必要なエネルギー(石油・石炭)を熱量で表したもの。
内断熱
鉄筋コンクリート造の建築物で、柱など躯体の内側に断熱材を施工する工法。
押出法ポリスチレンフォーム
ポリスチレン樹脂、発泡剤、難燃剤などを混ぜ合わせ、発泡させながら押し出して成形したもの。鉄筋コンクリートの打ち込みや外断熱に用いられる。
音圧レベル(dB)
音の大きさを表したもので、dB(デシベル)という単位を用いる。一般に室内で快適に過ごせるのは40dB程度までといわれる。人の耳では-5dBで静かになったと感じ、-10dBではほぼ半減して聞こえる。
か行
改正省エネルギー法(平成21年)
省エネルギー法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)の一部を改正する法律で、平成21年4月より施行された。全温室効果ガス排出量の3割を占め、エネルギー消費量が増え続ける民生(家庭+業務)部門における省エネ対策を強化するもの。
階間部
建築物の上階の床と下階の天井の間の空間。外壁と天井・床との取り合い部分(部材同士が接触する部分)を指すこともある。
外皮性能
外壁や窓、換気システムなど住宅全体の断熱性能を表す数値。
基礎断熱
床面を断熱する代わりに、基礎の外周部立ち上がりの外側か内側、あるいは両面を断熱する工法。
吸音
音を吸収し、音の反射を抑えること。グラスウールをはじめとする繊維系の材料は、比重が軽く多孔質で吸音性能がある。
旧省エネルギー基準
1980年に省エネルギー法に基づき住宅や建築物の省エネルギー性能(特に冷暖房エネルギー削減のための断熱性能)について定めた基準。住宅ローン「フラット35」の融資の必須条件とされる。住宅性能表示制度では省エネ対策等級2に相当する。
局所冷暖房
全館冷暖房に対して、人がいる空間のみを区切って冷暖房機器で冷やす、または暖める方法。
気流止め
土台周りや天井、外壁、間仕切り壁の中の空気の流れを止めるための断熱部材。乾燥木材や防湿・気密フィルム、あるいは袋入りグラスウールを二つ折りにして使用する。木材を使用した場合はファイアーストップとして防火上も有効。
軽量床衝撃音
床衝撃音のひとつで、スプーンなどを床に落とした「コツン」という音や、スリッパで歩いた時の「パタパタ」という音など、比較的軽めで高音域の音。軽量床衝撃音の遮音性能は、床の構造や表面仕上げによって変わる。
建築基準法
国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低基準を定めた法律。
硬質ウレタンフォーム
ポリイソシアネートとポリオールを主原料に、発泡剤や難燃剤などを混ぜて製造したもの。住宅用の他、冷蔵庫、クーラーボックスなどの断熱材として用いられる。
さ行
採暖
「暖を採る」という言葉の通り、ストーブやこたつなどで直接体を暖めて寒さをしのぐこと。断熱性の低い住宅では空気を暖める暖房が有効にできず、採暖が必要になる。
次世代省エネルギー基準
平成11年に省エネルギー法に基づき告示された。高い断熱性能レベルを定めた基準で、住宅性能表示制度では省エネ対策等級4に相当する。これをクリアすることで「認定長期優良住宅」として税の特例処置や、住宅ローン「フラット35」での金利引き下げなどの優遇が受けられる。
自然室温
暖房も冷房もしていない自然な状態での室温。
シックハウス症候群
建材から発生する有害な化学物質などが原因で、人が体に感じる不調。めまい、吐き気、頭痛、鼻水、のどの痛み、平衡感覚の失調など、さまざまな症状がある。
遮音
音を遮断し、音の透過を抑えること。石膏ボードや合板などの比重の重い材料は遮音効果がある。
住宅事業建築主の判断基準(トップランナー基準)
建売戸建住宅を新築・販売する事業主に対し、住宅が目指すべき省エネルギー性能を定めたもの。
住宅性能表示制度
品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)に基づき、住宅のさまざまな性能を分かりやすく表示するために制定された制度。性能表示事項のうちひとつが温熱環境であり、省エネルギー対策等級によって表す。
充填断熱工法
木造の建築物で、柱と柱の間などに断熱材を充填する工法。
省エネルギー法
消費エネルギーの節約や住空間の快適性、地球温暖化対策のため制定された、エネルギーの使用の合理化に関する法律。これに基づき、昭和55年に「省エネルギー基準(旧省エネルギー基準)」を定め、平成4年に「新省エネルギー基準」、平成11年に「次世代省エネルギー基準」と内容の見直し、強化が行われた。さらに平成24年には13年ぶりに改正した省エネルギー基準が公布された。
繊維系断熱材
断熱材のうち、細かい繊維の間に気体を閉じ込めることで断熱効果を発揮するもの。ガラスや鉱物を原料にしたグラスウール、ロックウールなどの「無機繊維系」と、パルプや古紙を原料にしたセルロースファイバーなどの「木質系繊維」に分類できる。
外断熱
柱などの構造材の外側を断熱材でくるむ断熱工法の一般的な呼び方。建築専門用語では、鉄筋コンクリート造での断熱工法に限定され、木造住宅、鉄骨住宅では外張り断熱工法と呼ばれる。
外張り断熱工法
木造住宅で用いられる外断熱工法。柱などの構造材の外側を断熱材でくるむ。
た行
体感温度
人間の肌が感じる温度の感覚を数値に表したもの。気温だけでなく、湿度や風速などにも影響を受ける。一般的には気流が強いとき、天井・壁・床などの表面温度が低いときに体感温度は下がる。
通気層
木造住宅の外壁などで、外気が通り抜けられるように断熱材の外側に設けた空間。木材などから発生する水蒸気を屋外へ逃がしやすくする。また、夏の日差しによる外壁材の加熱を和らげたり、外壁からの水の侵入を防ぐ役割を果す。
天井断熱
天井材の上に断熱材を敷き詰める、また吹き込むなどして断熱施工をする工法。
透湿防水シート
水は通さず、湿気(水蒸気)のみを通す性質を持ったシート。主に木造建築物の外壁の屋外側に用いられ、建物外部からの雨水の浸入を防止する防水性と壁体内に生じる湿気を外部に逃がす。
な行
内部結露
壁・床下・天井などの内部に発生する結露。室内で暖められた水蒸気が壁などの中に入りこみ、外気に近い側で冷やされことで起きる。
24時間換気システム
冷暖房時や就寝中に窓を閉めて生活する場合を想定し、ホルムアルデヒドや有害物質の空気中濃度を下げるために24時間運転させる換気システム。2003年には建築基準法改正で24時間換気システムの導入がすべての新築住宅へ義務づけられた。
認定長期優良住宅
長期にわたり良好な状態で使用できる長期優良住宅として、国から認定を受けたもの。2009年に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づく。
熱貫流率(K値)
材料の厚みを踏まえて算出される指数。数値が小さいほど熱を伝えにくく断熱性能が優れていることを示す。
熱抵抗値
熱の伝わりにくさを表す指数。数値が大きいほど断熱性能が優れていることを示す。
熱伝導率
熱の伝わりやすさを表す指数。数値が小さいほど熱を伝えにくく断熱性能が優れていることを示す。
は行
ハウスダスト
住宅内の空気中にあるちりやほこり、カビ、細菌、ダニの死骸・糞など。アレルギー性鼻炎や気管支喘息、アトピー性皮膚炎などを引き起こすアレルゲンとなる。
パッシブハウス
極めて高い断熱性・気密性により、1年を通してできるだけ冷暖房に頼らない暮らしを実現する省エネルギー住宅。ドイツの民間研究機関「パッシブハウス研究所」が定める省エネ基準による。
発泡プラスチック系断熱材
断熱材のうち、独立した気泡の中に気体を閉じ込めることで断熱効果を発揮する断熱材。押出法ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォーム、高発泡ポリエチレンフォームなど。
ビーズ法ポリスチレンフォーム
ポリスチレン樹脂に発泡剤に難燃剤を加えてビーズ状にしたものを、蒸気で発泡させて金型で成形したもの。別名、発泡スチロール。断熱材など建築用資材として用いられる。
ヒートショック
急激な温度変化が体に及ぼす影響で、血圧が急上昇または急下降したり、脈拍が早くなったりする状態のこと。体に大きな負担をかけ、心臓発作や脳卒中などを引き起こす原因となる。
表面結露
窓・壁・床などの表面に発生する結露。室内で暖められた水蒸気が、露点温度以下となった窓などの表面で冷やされることで起きる。
品確法
正式名称は「住宅の品質確保の促進等に関する法律」。住宅の品質を向上させて欠陥住宅をなくし、消費者が安心して住宅を取得できるようにつくられた法律。「住宅性能表示制度」「瑕疵担保責任の10年間の義務付け」「住宅に関する紛争処理体制の整備」の3つが柱となっている。
付加断熱
柱間に断熱材を充填した上で、その外側にも断熱材を外張りする工法。寒冷地などにおいて、さらなる断熱性能の向上と省エネルギー化のために用いられる。「充填+外張り」が一般的だが、断熱材を室内側に張る「充填+内張り」や、屋外・室内側の両方に張る「外張り+充填+内張り」といった方法もある。
複層ガラス
2枚のガラスの間に乾燥した空気の層を封じ込めたガラス。室内の暖房熱を逃がさず、外からの冷気が伝わるのを防ぎ、窓の断熱性能を高める効果がある。ペアガラス、または二重ガラスとも呼ばれる。
フラット35S
省エネルギー性、耐震性などに優れた住宅を対象とした、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携した長期固定金利の住宅ローン「フラット35」の借入金利が一定期間引き下げられる制度。
防湿フィルム
水蒸気を通さないポリエチレンなどのシートで、断熱材の室内側に施工し、水蒸気が壁内に入り込むのを防ぎ内部結露を防止するもの。
ま行
間仕切り壁
建築物の内部空間を仕切るための壁。
や行
屋根断熱
垂木の上や間に断熱材を入れる断熱工法。
床下暖房
床下に暖房機器を設置して床下空間を暖め、床面を室温より0.5~1℃高い温度に保ちながら、暖めた空気をゆるやかな自然対流で室内に送り出す暖房方式。基礎断熱との組み合わせで用いられる。
床断熱
床根太や大引間に断熱材を入れる断熱工法。
ら行
ライフサイクルCO2
建築物の建設(資材製造を含む)から廃棄に至る使用期間全体の二酸化炭素(CO2)の生涯排出量。建築が地球に及ぼす影響を図る指標にもなっている。
A~Z
C値
住まい全体の気密性の指標。「相当隙間面積(cm2/m2)」と呼ばれ、建物に存在する隙間の総量(総相当隙間面積)を、実質延べ面積で割って1m2あたりの隙間を求めたもの。数値が小さいほど気密性の高い住宅となる。
Low-Eガラス
Low Emissivity(低放射)ガラスの略称で、板ガラスの表面に酸化スズや銀などの特殊金属膜をコーディングしたもの。通常のガラスより低い放射率により、室内の暖房エネルギーの反射率を高めて断熱性能を向上させる。
Q値
住まい全体の断熱性の指標。「熱損失係数(W/ m2k)」と呼ばれ、室内と室外の温度差が1℃の時に、床面積1m2あたりで1時間に逃げる熱量を求めたもの。数値が小さいほど断熱性が高い住宅となる。
μ値
住宅に入る日射量を表す指標。「夏期日射取得係数」と呼ばれ、「全く遮蔽がないと仮定した場合に取得される日射量」に対する「実際に建物内部に取得される日射量」の冷房期間中の平均的な比率を求めたもの。数値が大きいほど住宅に入る日射が大きい。